ビジョン

モバイル通信が人類にとってかけがえのないものとなって久しい。そんな中、2007年、手のひら大のデバイスながらPCをも凌駕するインターネットへのアクセシビリティを備えた画期的なデバイスが出現した。iPhoneである。iPhoneの出現がモバイル通信のすべてを変えた。直感的な操作であらゆるアクションを実現できる優れたユーザインターフェース、持続的成長を約束されたアプリケーション・コンテンツ流通システム、圧倒的な出荷量を武器にした驚異的なコストパフォーマンス、そして何よりユーザに所有することのほこりとワクワク感を与える優れたデザイン、これらの相乗効果によって、全てのケータイ電話がiPhoneや、その台頭に刺激され出現したアンドロイドなどのスマートフォンへと置き換わろうとしている。しかし一方で、急激なスマートフォンの普及が大きな問題を生じさせるようになった。スマートフォンが発するトラフィックは、旧来のフィーチャーフォンの10倍以上、タブレットでは数10倍に達すると言われている。iPhoneは人類へ画期的なインターネットアクセス手段を提供した反面、トラフィック爆発という副作用を生じさせているのである。

増大し続けるトラフィックを吸収するには、すでに理論限界にまで実用性能を近づけることが出来ている変復調技術に頼ることはできない。ホワイトスペースの活用も利用可能な周波数資源は限られているため限界がある。唯一の解は、基地局守備範囲の縮小化、すなわちスモールセル化しかない。

基地局の守備範囲を狭くすれば、基地局に係る負荷は減る。セル半径を半分にすれば単位面積あたりに収容可能なトラフィックは4倍に増える。1000倍が必要ならセル半径を30分の1にすればよいだけである。スモールセル化は、ブロードバンド化にともなう電波の飛びの悪さも解決してくれる。このようなスモールセル化の必然性はモバイル通信の世界では避けて通れない常識として語られるようになった。

しかしスモールセル化によって、膨大な数の基地局の敷設が必要となる。またスモールセルは不感地帯の多発を許してしまうため、深刻なuser experienceの低下を引き起こす。我々PicoCELA社は、これらを解決する手段を提供する。LANケーブル配線を不要にする高性能無線バックホール技術、無線の知識が無い人でも簡単に適切な基地局の設置場所を把握することが可能なinteractive node setup、設置後直ちにクラウド上で維持・管理することが可能なnode management system、無線バックホールでリンクされた複数のスモールセルからなるエリアを連続的な一つのセルのように見せるMIMOZONE、スモールセルによる生得的な大システム容量の達成。これらの特徴を背景に、スモールセルを、その良い点を温存させつつ、スモールセルらしからぬシステムへと変貌させる術を提供するのがPicoCELA社である。これらの特徴は、アクセス回線とは分離して提供される。つまり、現スモールセルの主流であるWi-Fiのみならず、将来主流となることが約束されているLTEフェムトセルへもPicoCELAの無線バックホール技術は適用が可能なのである。

PicoCELAによるスモールセルが普及した日を想像してみよう。身の回りの至る所にPicoCELAが設置されている。これらを単に無線通信のインフラだけにとどめておく理由はない。各アクセスポイントを通過するトラフィックをマイニングして新たな情報を導き出し2次利用する仕組みや、スモールセル単位で異なるコンテンツを配信するナローキャスティング、さらには屋内空間における三次元位置検出、等といった新しいサービスが提供可能となる。つまり、PicoCELAは、エッジコンピュータやIoTゲートウェイを普及させるイネーブラーとして、モバイル通信基地局の価値をさらなる高みへと昇華させる役をも担う。PicoCELAスモールセル群をクラウドノードマネージメントシステムで一元的に管理することでこれらのサービスを司り、そしてmash upさせる。時空間に遍在する情報とインターネットとを結びつける術を提供可能な企業がPicoCELAなのである。

PicoCELAは、トラフィック需要の拡大によってもたらされるスモールセルの普及と共に成長し、あらゆる人々が快適で廉価なモバイル通信サービスを享受できる社会の実現に貢献する。我々はスモールセルの伝道者として、ショートレンジ無線バックホール市場を創設し、さらに時空間とインターネットを結びつける役を担うことで次世代の情報通信産業に革新的な数々のサービスをもたらす立役者となる。これがPicoCELAのビジョンである。

PicoCELA創業者 兼
代表取締役社長 工学博士 古川 浩